どこまでも歩いていく

歩きながら考える。主に山登りとか。

衝撃の事実

本日虫歯の治療の為に歯医者へ行ってきました。以前少し記載させていただきました、初診の患者にいきなり肩パンをするあの素敵なイケおじの先生です。

治療後歯の状態を見てもらうと「やっぱりあなた、寝ている時にそうとう歯ぎしりがひどいんだよ」と言われました。確かに初診の時からその点は言及されておりました。しかし、今まで複数の歯科医院を経験していますが他の先生たちからそういった指摘はなく、当人にも歯ぎしりをしている自覚はもちろんありませんので、イケおじの意見には当初耳を傾けていませんでした。ただ、確かに振り返ると治療後の詰め物や被せ物がしばらくして外れてしまったことは多々あります。今回歯医者に通っているのも同様の理由です。そして、歯ぎしりをしているという事実に直面した瞬間、座っている椅子の上で震え上がりました。歯ぎしりと言えば、寝ているおっさんの二大迷惑行為のひとつです。もうひとつはいびき。愕然としました。

仕事中にガムを噛んでいて詰め物が外れたことがあることも伝えたら、「ガムなんか噛まなくても死なないんだからやめろ」と言われました。こちらの発言も脳天から雷が落ちました。以前通っていた歯科医院でもキシリトールを噛むことを勧められ、人から言われたことは必ず守るこの大真面目な日本人は忠実にガムを噛み続けていました。お口の恋人もCMで推奨していますよね?イケおじからはガムを噛む代わりにコンクールという、うがい薬を勧められました。

歯ぎしりがひどいと、歯に必要以上の衝撃が加わり歯が割れてしまうそうです。その為、虫歯の治療が全て終わったら寝ている時に装着するマウスピースを作ろうか、という提案もありました。ただし一度マウスピースをしたら一生する必要があるそうです。一生って。僕は100歳まで生きる予定なので、あと60年以上も睡眠中はマウスピースをすることになります。思いがけず誰よりも長い付き合いになることが決定されました。

二十代の頃、当時付き合っていた女の子からは「あなたは死んだように静かに寝ている」と言われたことがあります。その頃は歯ぎしりもいびきもしていなかったのでしょう。あれから十年以上経っています。十年一昔です。今は事実を受け入れていないだけで、いびきもかいていることでしょう。

落ち込んでいていも仕方がないので、今後死ぬまで付き合っていくことになる”親友”である歯ぎしりさんの原因について調べてみます。まず、ストレス。これは現代を生きる人間であればどんな自由人でも少なからずあるでしょう。結婚もせず時間を持て余し、明らかに同世代の皆様と比較してストレスフリーと思われる僕もやはりストレスはあったんですね。次に、噛み合わせや骨格。これは大いにあり得ます。僕は、二十代の頃に通っていた歯医者の先生から「あなた全部虫歯ですよ」という、世界で最も気温が低い地域に住んでいる方も凍りつくような宣言を受けました。治療においては、そんなに削っちゃって大丈夫なんですか、とド素人の僕でも心配になってしまうほど歯を削りまくり、その後患部を詰めたり被せたりしている為、噛み合わせなどはもはや正しい状態なのかどうか本人にはわからなくなっています。続いて、習慣。「たとえばスポーツ選手は、力をいれる時に瞬間的に歯を食いしばっています。それが睡眠中にも習慣となって現れ、歯ぎしりしていまうのです。」と記載があります。ふむふむ、確かに一般登山選手として日々活動している為、登山中に岩を攀じ登ったり、重い荷物を背負いヒーヒー言いながら急登を登ったり、荷物が軽くても山の中数十キロという距離を馬鹿みたいに歩いたり、文字通り歯を食いしばって挑ませていただいております。ということで、こちらも完全に該当します。と、考えると歯ぎしりさんから好意を持たれるのも当然のような気がしました。

今まで共に暮らしながらも自らの存在を主張しない、照れ屋な歯ぎしりさん。鈍感な僕は三十年経ってようやくあなたに気が付きました。これから誰よりも長い付き合いになると思いますが、あらためてよろしくお願いします。

 

登山中もマウスピース使った方が良いのかな。あとで先生に聞いてみよう。