どこまでも歩いていく

歩きながら考える。主に山登りとか。

【登山シーズン突入記念】山の楽しみ方について

いや〜、梅雨に入りジメジメと気温も湿度も高く、寝ていても起きていても汗がじわりと体にまとわりついて鬱陶しいことこの上なし。加えて最近休みの日は、逆に寿命を縮めるんじゃないかというほど惰眠を貪り、起きたらYouTubeをボーッと見ているかスマホを開いてYahoo!ニュースで芸能人や歌舞伎界の下世話な話を眺めるばかり。このままだと脳みそにカビが生えて溶けてしまいそうなので文章でも書いて少しでも頭の体操としたい所存でございます。

さて、先日テレビでは富士山の山小屋が山開きの準備を始めたと言うニュースが流れ、山も雪溶けが進み、いよいよ登山シーズンに突入しました。ということで、今回は山の楽しみ方について綴りたいと思います。山に興味をお持ちの方、これから登山を始めようかなと思っている方がこれを機に山へ足を運んでいただける助力となればこれ幸いです。

夏の北アルプスにて

では、さっそくですが、僕が考える山の良さを挙げると次の3つになります。

①楽しみ方は一つではない

②運動になる

③人との出会い

はい、はっきり言って凡庸ですね。まあ、しかし、今のところこれに尽きるかなと思っています。

まずは、①楽しみ方は一つではない、について述べていきます。山の良いところは様々な楽しみ方があることです。メインになるであろう「登る」という行為だけ切り取っても、ハイキングから一般的な登山、ロッククライミング、川を遡行する沢登り、最近人気のトレイルランニングと複数に分類することが出来ます。

山の中へ入っていく

自分の経験を語ると、最初は散歩感覚のハイキングから始まりました。僕はもともと歩くことが好きだったので、自然の中を歩くことの気持ち良さを覚え徐々に本格的な山登りをするようになりました。その後道具を揃えて山でキャンプをするようになり、軽量で早く遠くまで行くことが出来るスピードハイクやトレイルランニングも楽しむようにもなりました。ロッククライミング沢登りは本格的に手を出していませんが、登山の中で部分的に出現する岩を攀じ登る恐怖や面白さ、川を渡渉する気持ち良さは随所に感じます。

日本第二の高峰北岳山頂を望む

人並みの表現ですが、山に登る理由はなんと言ってもそこから見える景色だと思います。海外の有名な登山家もどうして登るのかと聞かれて、景色だよと答えていました。初めて山に登った人も経験豊富なベテランも世界の難峰に挑戦するプロフェショナルでさえも、山をやっている人はみんな結局ここなんじゃないでしょうか。山から見る景色は普段生活している中では絶対見れないですからね。

今まで登った百名山は30に届かない程度であまり語れる経験があるわけではないですが、日本の山の景色で抜群に良かったのは劒岳です。登らずとも劒岳を見に行くことだけでも是非おすすめします。また、劒岳と言えば、新田次郎先生の「劒岳 点の記」。映画にもなりましたが僕はこの至極の一冊を読むことをおすすめします。と、劒岳に関しては記事を一本書けちゃうくらい推しています(1回行っただけだけど)。

劒岳と後立山連峰

登ること以外に山で楽しむことに目を向けると、写真撮影や高山植物、絵を描くなどが人気でしょうか。さらに裾野を広げるとオートキャンプや川遊び、自転車、ピクニック、渓流釣りなど、こうなるともう楽しみ方は千差万別、自由でどれもが正解です。

日本人はこだわる気質なのか一つのジャンルを極めることを好んだり尊敬の対象とされることがあると思います。ただ、僕個人の意見としては、一つのことを極めることはもちろんすごいけれど、それだけではもったいないとも思ってしまいます。例えば、百名山を全部登るというピークハントの要素がフォーカスされる行動をしていると、とにかく登って頂上を踏むということばかり夢中になり途中の経過を疎かにしてしまう気がして、後で振り返った後にちょっともったいなかったかなと思ってしまうことがあります。また、僕はスピードハイクやトレランのように早く登るということも好きなので終わった後は記録に満足する一方で、ゆっくり登った時に周りを見渡してもっと新しい発見があったかもしれない、自然の香りをもっと楽しめたかもしれない、など自分が取った行動以外の切り口でもっと山を味わえたであろう選択肢が残されていることに対してもったいなさを感じてしまいます。(まあでもそれは仕方がないことか。また行けばいいか。)

僕は登ることだけではなく写真を撮ることも好きですし、山の中でゆっくりキャンプをすることも好きです。美しい自然や景色の中でテントを張って、美味しいご飯を食べたり、コーヒーを飲みながら読書をするなんて、たぶん地球上における最高の贅沢の一つですよね。だからこそ、五感を全部使って山を感じたいし楽しみたい、僕はそうありたいと思います。

滝雲

次は、②運動になる、という部分をお伝えしていきます。

なぜか、山登りを終えた後は、体力気力ともに出し切ったなーってなるんですよね。家の周りをランニングしたり他のスポーツをしたりして同じように体力を消費して疲れることはあっても出し切ったとまでは感じません。実際、毎回山には全力で挑ませてもらっていますので、終わった後は体力が空でふらふらの状態になりますが頭の中はスッキリしているんですよね。これだけ気力体力を出し切れるのは登山しかないと感じています。そして、このことがストレス発散にも繋がっているんだろうなとは強く感じます。加えて、何十キロという重い荷物を担いで歩いたとか、何十キロも長い距離を歩いたとか山でのキツイ経験があると日々の仕事とか日常の嫌なことが楽に感じられます。身心ともに効果抜群ですね。

ただ、誤解しないでください。登山の良いところはゆっくりでも歩いていれば必ず山頂に辿り着くということです。若者から年配の人まで誰にでも出来ることです。ロッククライミング沢登りなど一部を除き、特別な技術など要りません。

ちなみに、僕が24歳の時に初めて富士山に登った後の感想は、「もう一生登りたくない」でした。その頃は、本格的に登山をしていなかったことや高山病で頭痛でふらふらになっていたこともあり苦行にしか思えませんでした。しかし、気がつけばその後も富士山には2度登り、去年は標高0mから登るという奇行に走るようにもなりました。

富士山山頂部

登っている間は基本的にキツイ。しかし、なぜか帰りの電車やバス、車の中で次はどこへ行こうかなと考えてしまう。それが山の不思議であり魅力だと思う。

きっとまた行きたくなる景色がある

最後は、③人との出会いにつきまして。山ではなぜか登山中すれ違う人に「こんにちは」と挨拶を交わす慣習があります。普段挨拶など全く気にしない自分も無意識に声が出てしまいます。毎回ではありませんが、この挨拶から何気ない会話に発展することもあり、別れ際には「お気をつけて」と互いの安全と健闘を讃え合います。なんか、こう考えてみるとかっこいいな。街の中では知らない人に話しかけるなんて気が引けますが、山の中だと自然と会話が出来るんですよね。そして、何よりおもしろい人たちに出会うことがあります。今まで印象的だったのは、過去にスポンサーが付くほどの実力の持ち主のトレランをされている女性、キリスト教三大聖地巡礼の一つであるスペイン、サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼を10年以上も続けていられる女性、定年後にアメリカ三大トレイルのひとつを完歩し現在二つ目に挑戦中の男性。きっと山でなければ出会うことがなかった素敵でかっこいい方々から貴重なお話を伺うことが出来ました。僕もいつか彼らのように魅力的な人間になれたらいいなと思います。

ここがわたしのアナザースカイ!

興味を持っていただこうといつも以上に力を入れて過去に撮った素敵な写真(自分で言っちゃう)とともにつらつらと駄文を書き連ねて参りました。少しでも山に対する何かのきっかけとなれば幸甚です。最後に皆さまへひと言添えて終わりにさせていただきます。

さあ、これから山を始めようと思っている皆さま、この夏一歩踏み出しましょう。もうすでに山の虜になられている方は一緒に考えましょう、「次はどこへ行こうかな」と。

谷川岳の夜明け