どこまでも歩いていく

歩きながら考える。主に山登りとか。

初めてのOZE 前泊編

さあやって来ました日本百名山チャレンジ、さっさと終わらせて百名山という呪縛から解き放たれたい。お次はどこへ登るかと申しますと福島県会津駒ヶ岳になります。前回の青森も同様雪が降ったら登りにくくなるエリアはなるべく夏のうちに登っておくことにします。

会津駒ヶ岳へ行くことを決めてから周辺の地図を眺めていると、なんと南西方面にはこれまた日本百名山である燧ヶ岳があり、距離的にも行けそうじゃないですか。しかも、両方を登るのにちょうどいい場所にキャンプ場がある。天才だ、これを発見した自分に酔いしれました。(ただ自分が知らなかっただけ。大昔から山はそこにある)そして、会津駒ヶ岳尾瀬国立公園に指定されているんですね、知らなかったー。

尾瀬は母が学校の行事か何かで行き「延々と歩いて何もなかった」という話を子供の頃に聞いた時から興味を覚えた場所です。とはいえ、僕は群馬県出身にも拘らず今まで尾瀬に行く機会がありませんでした。母と対極を成す存在として、こちらは何もない場所を求めるかのように各地を彷徨っております。(アラスカがその最たる例)あの話を聞いてから20年くらい経ってしまったでしょうか。お待たせしました、いよいよ初めての尾瀬、非常に楽しみです。

さて、今回は2連休だったので初日に会津駒ヶ岳、2日目に燧ヶ岳へ登る予定を立てています。尾瀬へ向かう移動で半日終わってしまいますので、前日のうちに拠点となる福島県檜枝岐村へ移動をしておく必要があります。ちなみに「ひのえまたむら」です。初見で絶対読めません。帰った後も読み方が出てこないことがあります。

2日間とも平日で梅雨がまだ明けていないとはいえキャンプシーズンに突入していますし、前回僕が登山について熱く語った影響で登山ブームに火がつき、登山客が押し寄せている可能性もあります。念の為、前日キャンプ場へ連絡をし予約を無事勝ち取ることが出来ました。電話口のおばちゃんも予約しておいた方がいいと言っていたし良かったです。キャンプをするのは去年の10月下旬に四阿屋山へ登った時以来です。テン泊用の大きいザックに適当に荷物を突っ込んでいきます。食料も基本的には持参して、水は現地調達します。食料は少々足りないような気がしますが、現地にJA檜枝岐村ストアーなる小さなスーパーのようなお店があるのでそこで調達する予定です。というかそこしかお店がなさそう、もちろんコンビニなんてないよ。あと少し心配なことは、現地の夜の寒さが読めず、僕は現在薄っぺらい寝袋しか持っていません。前回の四阿屋山ではこの薄情者とインナーシュラフを持って行きましたが、あまりの寒さに眠れぬ夜を過ごしました。まあ、今回は夏なのでこの薄っぺらだけで大丈夫でしょう。

移動日当日、夜勤が終わり逃げるように職場を離れ、そのまま電車に飛び乗ります。荷物は駅近くのロッカーに一晩預けていました。しばらく電車に揺られ、鬼怒川温泉で乗り換えます。
f:id:takayuuuuu:20230710083618j:image立派な駅舎ですね。乗り換えに30分くらい間が空いたので外に出てみました。駅前は綺麗に整備されていて足湯もあります。鬼怒川温泉は現在廃墟が目立ち、昔栄えていた頃の温泉旅館などの遺構が点在されていることが有名になってしまい、よくユーチューバーなどに揶揄されていますが、駅周辺からはそのような雰囲気は全く感じません。駅にも多くはありませんが、そこそこ温泉客がいましたし。

あー、パネルに顔はめたいけどひとりだから出来ない。

f:id:takayuuuuu:20230712183122j:image鬼怒川温泉駅のひとつ隣の新藤原駅からは野岩鉄道会津鬼怒川線になりますが、そこから先はもう秘境と言うか、山しかありません。電波も半分くらい繋がりません。そして面白いのが、駅名のほとんどが「○○温泉」となっています。川治温泉→川治湯元→湯西川温泉中三依温泉上三依塩原温泉口、と連続で温泉攻めを繰り広げる野岩鉄道さんには脱帽です。ユーチューバーにはこちらのエリアの特集でもしてもらいたいものです。

13:50 会津高原尾瀬口駅到着。
f:id:takayuuuuu:20230710083621j:imageここからバスに乗り換え、1時間くらいかけて檜枝岐村へ向かいます。乗客は自分を含めて3名。うち1名は駅の施設の人と話をされていたので常連と思われる山に登る気満々な格好の女性。もう1名はスーパーの弁当か何かを持っている地元民と思われる謎のおじいさま。そして、夜勤明け寝不足代表キャンプする気満々デカザック装備のわたくし。なかなか強いパーティだと思います。ただ、鬼怒川温泉くらいからちょっと気になっていましたが、寝不足で体温が下がっている僕には半袖だと肌寒い感じがしますね。というか、最近毎回のように寝不足で行動していますね。よくそんな状態でやっているな。

3名の戦士を乗せたバスは暫く進んで行くと道路沿いに川が流れていて、川の水がどこを見てもめちゃくちゃ透き通っています。バス越しに川を眺めていますが、魚が見えるんじゃないかというくらい透明であることに驚きます。途中、地元民と思われるおじいさまは、ここ!?、ここなのっ!?という場所で降りていかれました。何とも表現しづらいですが、その見えている2軒の家のどちらかがあなたのお家じゃなければ、それ以外マジで何もないよねという場所でした。その後はバスの車内でうとうとし、気がつけば檜枝岐村に入っていて、女性は会津駒ヶ岳登山口を過ぎた先で降りて行かれました。僕が今回泊まるキャンプ場がある場所は桧枝岐の道の駅など旅館やお店があるメインエリアからは少し離れています。途中にミニ尾瀬公園なるものがあって、その先になります。

15:30過ぎにキリンテ白樺キャンプ場に到着。
f:id:takayuuuuu:20230710083526j:imageキャンプ場の目の前がバス停になっていて、バスを降りたら電話した時のおばちゃんが小雨が降る中、傘を差して待っていてくれました。感動しました。挨拶をして、道路を挟んで反対側にある小屋で受付を済ませます。その際に明日駒ヶ岳、その翌日に燧ヶ岳へ登ことをおばちゃんへ高らかに宣言します。その後、村の中にある温泉に入るかと聞かれたので、入ります、と返答したところ400円で入浴できる券をいただきました。村のキャンプ場などの宿泊施設利用客だとこの入浴券がもらえるようです。実際はその入浴券をもらうのではなく事前に購入し、温泉ではその券を渡すだけで入浴が出来る仕組みになっています。桧枝岐には3つ日帰り温泉が可能な施設があります。道の駅に併設されているアルザ尾瀬の郷、会津駒ヶ岳登山口に近い駒の湯、そして駒の湯からもう少しこのキャンプ場寄りの所にある燧の湯(ひうちのゆ)となります。通常日帰り入浴の料金はそれそれ700円〜1000円となっていますので、どこでも1回400円で入れるこの券はとてもお得です。今回は入浴券を2枚購入しました。テントを張って速攻温泉に行こうと思います。

ちなみに本日はこのキャンプ場に他のキャンプ客はいないそうです。貸切状態です。前日おばちゃんと電話で話した時に予約しておいた方がいいと言っていましたが、まあ、忘れましょう。今日は平日ですからね、土日とか夏休みだと混むそうなので。

さて、テントを建て終えて温泉へ行こうと受付の前を通ると、優しそうな雰囲気のおじさんが温泉まで送るよと声を掛けてくれました。遠慮を知らないこの僕は「マジですか、助かります」と即答します。燧の湯はキャンプ場から徒歩で片道30分くらいかかります。しかも、山の中なので傾斜がありキャンプ場から行きは下り、帰りが登りになります。おじさんと軽トラで燧の湯まで送ってもらっている間いろいろお話しさせていただき、二人はご夫婦ということでこれからは親しみを込めて勝手にお父さん、お母さんと呼ばさせていただきます。(実際そう呼んでいた)

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燧の湯は内風呂と露天風呂がひとつずつあります。先客は一名のみ。暫くすると出ていかれたので途中から貸切風呂状態になりました。露天風呂の目の前には川が流れ木々の緑が映え、山の匂いが気持ち良く漂っています。そんな中で入る温泉。あまりにも気持ちが良くて、ふと、こんなことが出来て自分は幸せ者だなと思いました。

湯船を出たり入ったりして目を閉じてぼーっとしていると突然内湯から露天風呂に出るドアが開く音がして名前を呼ばれ、目を開けるとお父さんが立っていて(お父さんは服を着ています)「雨が降りそうだから帰りも送るよ」と声をかけてきました。もともと帰りは歩いて戻ってくる予定でしたが、お父さんのご厚意で帰りも送ってもらうことになりました。何て良い人なんだ。そして、何て良い村なんだ。内風呂に戻ると2名男性がいて、片方の人が一瞬お父さんかな思ったけど違ったら恥ずかしいので声は掛けず。17時に軽トラで迎えに来てくれることになっていますのでそれまでゆっくりします。その後、お父さんと合流し(内湯の人はやっぱり別人だった)、あまりにも温泉が気持ち良かったこともあり、まだ桧枝岐に来たばっかりで温泉に入る以外何もしていないけれど既に来た甲斐がありましたよ、と言うとお父さんは嬉しそうにされていました。普段温泉にはよく入りに行くのか聞いてみると、ほとんど行かないそうです。その理由が、なんと、桧枝岐の住民の家には全員温泉が引かれているそうで、蛇口を捻れば温泉が出てくるからです。家で温泉に入ることが出来るということです。いやー、本当にそういうのってあるんですね。桧枝岐には何もないけど、家で温泉に入れることはすごい良いと言ってました。素晴らしいですね。そして、お父さん、何かあるのが良いなんて若いうちだけですよ、と心の中で思いました。

キャンプ場に戻った後は持参したアルファ米とカレーで簡単な夕食を済ませ、明日の行程を練ります。幸運なことに、天気予報を見ると明日の天気が好転しています。明日も明後日も天気が良さそうです。ということで予定を変更、明日燧ヶ岳に登ることにします。そして、燧ヶ岳に登った後はせっかくだから尾瀬沼の方にも行きたい。初めての尾瀬なので出来る限り尾瀬を楽しみたい。尾瀬沼から大江湿原を通って沼山峠へ抜けて会津沼田街道を経由して七入まで戻りキャンプ場まで帰って来る。しかし、このぐるっと周回コース、なかなか距離があります。コースタイムを測るとだいたい13時間くらいでしょうか。まあ、荷物は基本的にこのキャンプ場に置いて軽身で行くので問題ないでしょう。そして、19時前に就寝。(早)明日は3時起きの4時出発予定です。

おやすみなさい

 

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