どこまでも歩いていく

歩きながら考える。主に山登りとか。

【悲報】登山中に前歯が欠けた話 於皇海山①

みなさま、こんにちは。横浜駅構内で赤い液体が見つかり付近では一時的に厳戒態勢になったそうですが中身はいちごジャムだった、というニュースをテレビで見てこの国で生まれたことに感謝と喜びを感じております。

さて先日、栃木県と群馬県の間にある皇海山(すかいさん)に行ってきましたのでご報告いたします。この気高い名前を持つ日本百名山は、山頂までのアクセスが比較的容易なコースが立ち入り禁止となっている為(このコースの登山口に至る林道が廃止されたことによる)、現在メインとなっている庚申山を経由するルートが日帰り登山としては距離や技術的に少し難しくなっており、登山者を悩ませています。当初の予定ではテントを持参し1日目は皇海山、野宿、2日目に近くの袈裟丸山を登る予定でした。しかし、残念ながら2日目の天気が悪化し雨予報。その為、大人しく日帰りで皇海山のみ登ることにしました。

庚申山と鋸山を経由して皇海山に至るクラシックルートと呼ばれるこのコースは、奈良から平安時代に開山され江戸時代には信仰登山として利用されていたそうです。令和時代の現在では駐車場がある国民宿舎かじか荘を発着点とした場合でも往復12〜13時間かかります。加えて、治しては壊しを繰り返し歯医者通いから解放されないこの虫歯系クライマーの私は、わたらせ渓谷鉄道原向駅をスタート及びゴール地点としますのでコースタイム的に往復17〜18時間くらいでしょうか。朝家を出ると終電までに間に合わない為、前日の夕方に出発し夜から登る作戦にします。

家を出発し電車を乗り継ぎ群馬県桐生駅で以前から乗ってみたかった、わたらせ渓谷鉄道に乗り換えます。祖父万次郎が住んでいた関係で子供の頃桐生周辺にはよく来ていた為、覚えていないだけで実際乗ったことはあるのかもしれません。わたらせ渓谷鉄道は地域の住民の足にもなっていますが、基本的には足尾方面の観光列車としての色が強いものになります。

桐生駅での乗り換えの際に最初は気が付きませんでしたが、同じJRのホームに異彩を放つ1両編成の車両が止まっていました。味のある小豆色の外観とディーゼルエンジンの低音を響かせています。乗客は誰もいません。乗り方もよくわからないので恐る恐る車両に足を踏み入れます。ホームにある精算機でこれまでの運賃を支払い、乗車時に車両の中にある整理券を取り、降車時に車内で支払うバススタイルだということに気がつくまでになかなか時間を要しました。時刻は夜の9時過ぎ、この時間にあまり乗客はいないことは予想していましたが結局自分を含めて乗客5名で出発進行。桐生を後にしてからは徐々に山の中に入って行きます。外は暗闇で景色を眺めることが出来ません。スマホをいじったり、居眠りをしながらやり過ごします。仕事終わり後の3時間睡眠で来ているので割と眠いです。他の乗客の方は地元の方のようで途中ポツポツと降りていき、後半は謎の青年(恐らく20代)と僕の2名だけになりました。

道中線路内に鹿が飛び出すハプニングもありながらも22:33 原向駅到着。支払いの際にありがとうございますと愛想良く言ってくれた乗務員さんに「(俺、この真っ暗闇の中これから山に登りに)行ってきます」と言わんばかりのにっこりスマイルを返します。ところで、先ほどの青年は結局僕より先まで乗っていました。登山をするような格好はしておらず、この先降車駅に誰かが車で待っているのでしょうか。時間的に戻りの列車もないでしょうし、山の中なのでホテルや宿泊施設もないと思いますが、この後どうするのでしょうか、はたまた彼は神様か幽霊だったのでしょうか。

駅に到着してからは待合室でおにぎりをひとつ食べて準備を整え、22:46出発です。まずは、登山の起点となっている6km先の国民宿舎かじか壮を目指します。駅付近の渡良瀬川にかかる橋を渡り国道122号を日光方面へ向かいます。ふと見上げると、夜空には星が輝いています。こんなところからでもやっぱり山だと星がよく見えるなと感心します。ちなみに原向駅の標高は574mです。その後、800m先にある信号を左折し、そこからは道なりに山へ山へと進んでいくとかじか荘へ到着します。信号を左折してからは街灯もなくヘッドライトの明かりも心許ない感じがします。この時間では歩行者どころか車も全く通りかかりませんが、しばらくすると後方から車がやってきました。僕に近づくと減速しているのがわかったので振り返ると、ドライバーの男性が『乗って行きますか?』と声を掛けてくれました。しかし、まだ開始してから序盤ということや、もし乗せてもらってかじか荘まで連れて行ってもらえたとしても、結局かじか荘から先に進むのであまり早く進んでもその先で暗闇登山の時間が増えるだけなので今回はお断りすることにしました。これが疲労困憊の帰路だったら是非お願いしますと駅まで乗せてもらっていたと思います。あの時、声を掛けていただいたやさしそうな男性、ありがとうございます。無事家に帰って、お菓子食べながらこのブログ書いています。

久しぶりにドライバーから声を掛けてもらったので思い出したことがあります。もう5年以上前の話ですが、冬の山梨県山中湖付近を夜中歩いていた時に今回のようにミニバンが近づいてきて若い男性のドライバーから声を掛けられました。その時も最初は断っていましたが、寒いだろうから乗ってと何度も誘ってくるので最後はこちらが折れて乗せてもらうことにしました。車内では若い男性が6〜7人に囲まれて座っていたので、これは拉致かと思いました。が、そんなことは杞憂で彼らは成人式の為に地元に集った二十歳の新成人だそうで、ここの寒さを知っているからこんな夜に歩いていると心配したとか周辺の話とかしてくれて本当に良い青年たちでした。ドライバーから見ると夜に山の中を歩いていると心配になるのでしょう。申し訳ございません。

夜に星が見える山の中を歩いていると、空の天井が近いなと感じることがあります。場所によっては逆に作りものかと思ってしまうほど良く出来た星空があります。人工的に天井を設けてそこに星を散らしているイメージです。ちなみに僕はアラスカで宇宙一綺麗な星空、というか宇宙を感じられる星空を見たことがあります。あれは控えめに言っても世界一に入る星空だったと記憶しております。まあ〜アラスカに行っていた時のよもやま話もそのうち綴ろうかと思います。

道を歩いているとガードレール等に反射板があって僕がつけているヘッドライトの光に反射して光りますが、時々人工物がないと思われる場所で光っているものを見ます。そうです、鹿です。鹿の目が2つ光ります。鹿は夜行性です。所々に鹿が現れてこちらの様子を伺っています。道路沿いの庚申川がゴーゴーと音を立てて流れています。暗闇と相まって不気味さが増します。

00:07かじか荘に到着。かじか荘は温泉のある宿泊施設です。近くの銀山平公園ではキャンプ場もあります。現在皇海山を日帰り登山する場合ここまで車で来て登り始めるのが一般的となっています。

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さあて、ここからいよいよ登山の開始となります。いったい前歯はいつ欠けるのでしょうか。

つづく

 

 

 

 

家から山に登ろう 後編

前回の内容はこちら家から山に登ろう 前編

正午アラーム音が鳴り至福の二度寝から目覚める。直後、どこから湧き出て来たのか分かりませんが、何の迷いもなく決意します。出発しようと。普段であれば、休日お昼まで寝ていれば余程の予定がない限り、もう今日は何もしなくていいや、となるはず。ましてやこれから5〜6時間かけて25km歩くなんて論外。しかし、なぜかこの日に限っては一点の曇りもなく、起きた瞬間に出発しようと決心しました。慌ただしく身支度を整えバナナを胃に流し込み、12:38出発。まるで朝寝坊した学生のような早業でした。謎。家を出る前に見た天気予報で午後一時的に雨マークが付いていたことには見て見ぬふりをします。

自宅を出てまずは住宅街を南下していきます。家から10〜15分くらいの近場でも初めて来た場所には、こんなところもあったのかと新鮮な気持ちになります。その後、国道17号方面に向かい、17号を超えた先でお花がきれいな公園、と思いきやお墓を発見。公園墓地と呼ぶそうです。


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樹齢700年の藤の花が名物。曇りがちなのが残念。晴れていたらもっと綺麗だったことでしょう。

そこから2km程度南西に歩いて行くと荒川沿いに差し掛かり、今までの住宅街からがらりと雰囲気が変わります。道路の左右に広大な土地が広がっています。進行方向に対して左手が自動車学校、そして、右手には警察の自動車訓練所。警察側では、黒塗りセダンをパトカー2台がキーキーとけたたましいブレーキ音を立て、凄い勢いで追いかけています。なかなかの迫力につい見入ってしまいました。ドラマでしか見たことのない光景でした。その先では、川を挟んで左右にゴルフ場や野球場、畑がずっと遠くの方まで広がっています。まだここも同じさいたま市であることが嘘のようです。続いて、荒川に架かる治水橋を渡って行きます。この付近は地上から10−20mくらいの高さにあり、周囲に風を遮るものは何もなく強風に煽られます。というか、暴風です。風が強くて寒いです。橋が長いです。寒い。長い。寒い。長い。橋の長さは833.1mとのことです。こんなところを徒歩で渡っている人は他にいません。自転車すら1名途中ですれ違っただけでした。風でよろめきながらも何とか橋を渡り、荒川に隣接するびん沼川を渡った先で富士見市に入りました。現在時刻は14:05、家を出てから約1時間30分になります。というか富士見市というのがあるんですね。ふじみ野市の存在は知っていましたが。富士見市の皆様申し訳ございません。しかも、これがまた、富士見市ふじみ野市が隣あっているということに驚愕と混乱。地図を見てみるとびん沼川付近に富士見市ふじみ野市の境界があり、ここは富士見市だけど少し先はふじみ野市になっているようです。そして、気になったので後で調べてみたところ、東武東上線ふじみ野駅富士見市にあるそうで、もはや賞賛と平伏。犬だったら仰向けになってお腹を見せています。

富士見市ふじみ野市の混乱から何とか立ち直り、14:28 出発してから2時間程経過したこともあり、三社公園という地元民でしか知り得ないであろう小さな公園で小休憩。ゼリー飲料でエネルギー補給をします。するとマダム2名が犬の散歩で公園に入って来ました。平日の真昼間からこんなところのベンチで休んでいる男がいると驚かせてしまう恐れがあった為、休憩を切り上げ逃げるように公園を後にします。余計に怪しい。

その後は前述の東武東上線ふじみ野駅方面に向かいます。東上線の線路を越えた先に天然温泉真名井の湯なるものを見つけます。正直このどうでもいい企画を真面目に遂行せずとも、何の問題もなく、温泉でも入って帰ってしまおうかという誘惑に駆られますが、いやいや、温泉になど入れる身分かと自分を戒めます。

15:30 約3時間経過。少し小腹が空いた為、ローソンでからあげくんレッドを購入。今日は朝8時に起きた際に食パン2枚と二度寝後のお昼過ぎに家を出る前にバナナを1本食べただけでした。店内にイートインスペースがなかった為、店の外で立ち食い。今日はこのからあげくんが効果覿面。ローソン休憩の数分後、もりもりと力が湧いてくるのを感じました。ローソンを後にしてからは、関越自動車道を横切り運送会社の物流センターが立ち並ぶ長い一本道を歩いて行きます。こんな殺風景なところを歩いていても何ひとつ楽しくはありませんのでさっさと通過します。幸い本日は割と調子が良く、特にからあげくんを食べてから、いや、くん付けはおこがましいので、本日に限りからあげさんとします、からあげさんのおかげでつまらない風景の道もさくっと進むことが出来ました。途中で埼玉名物山田うどんを発見。懐かしさもあり猛烈に食べたくなりましたが、少し前にからあげさんを食べたので後ろ髪を引かれる思いで山田うどんに別れを告げます。その後、西武新宿線の高架下をくぐると少し疲労を感じて来ましたが、残り4km程度です。続いて西武池袋線の線路を渡り、こうなるともう残り少しなので休憩を取らずに勢いで行きましょう。

17:26 住宅街の先に鬱蒼とした森。

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到着しました。5時間切り達成です。からあげ様のおかげです。休憩も前半の小さな公園で5分、からあげ様をいただいた際の5分、計10分で到着することが出来ました。調子も良かったですね、これが100kmの時だったらなあと思いましたが仕方がない。園内に入り少し歩いて行くと登り坂が出現しました。おや、いよいよ登山道の開始なのかな。すると、

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立派な鳥居と山頂が見えました。つつじが真っ赤に咲いていてとてもきれいでした。しかし、よくこれを人工で作ったな。ちなみに荒幡富士の由来はこちら。
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では、鳥居に一礼して登頂開始です。

すると、ものの1分も経たないところで、二合目と記載された石が。こちらは、合目石(ごうめいし)と呼ばれるものになります。そのまま過ぎです。あれ、一合目ありました?二合目石の出現が早すぎて、一合目見落としていました。
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三合目も見落とします。

四合目を見つけました。
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四合目を確認したところで、ようやく全てに設置されていることに気がつきました。(遅)

ということで今度は見落とさず、五合目。
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続きまして、六合目。
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では皆様、残り少なくなって来ましたので、登っているつもりで一緒にご唱和お願いいたします。

七。
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八。
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九。
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九合目から5歩で〜、やりました。山頂です。

17:34 鳥居から登り初めて記録2分で登頂達成。
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丹沢から富士山、奥多摩方面まで結構いろいろな山が見えるんですね。本日は霞んでいてひとつも見えませんでした。ただ、思っていたより周りを見渡せ夕方の雰囲気も相まって気持ちが良かったです。

さて、ひと通り山頂を楽しみましたので、下山に取り組みます。登山の事故は下山で起きるとよく言われますので気を抜かずに行きましょう。集中力と緊張感をしっかり保ちながら、凡そ2分で鳥居まで戻ってくることが出来ました。2分もかかっているのかな。下山後は園内のベンチで持参したコーヒーとワッフルで登頂を祝います。途中で食べようと思っていたものですが、からあげ様のおかげで食べずにたどり着くことが出来ました。しかし、ワッフルを食べ始めた直後、蚊が襲来。止まっていると刺されそうな気がした為、ベンチから離れ立ち食いスタイルに変更。コーヒーでワッフルを流し込んで退散します。

ちなみに、前回帰るまでが登山だとほざいていましたが、帰りは電車で帰りました。往復すると距離が50kmと長くなってしまい今回はそこまで負荷をかけるつもりもなかったので、当初から往復は考えていませんでした。

いや、しかし今日は良い運動になりました。帰っておいしく夕飯を食べられそうです。

 

家から山に登ろう 前編

何か面白い山登りはないかと日々模索する中でふと思う、家からそのまま登りに行ってみてはどうか。

いや、いつもそうでしょ、と思われるかもしれません。通常、家を出て車や電車で登山口まで移動して登ります。しかし、今回に限ってはそうではございません。家からそのまま登山を開始します。「家に帰るまでが遠足」とはまさにこのこと。この格言によれば、家を出て、目的地で楽しみ、家まで帰る、ここまでの行程全体を遠足と定義しています。その理論を応用させると、家を出て、山に登り、家まで帰る、この行為全てが登山ということになります。しかし、ここで非常にクリティカルな問題が浮上します。僕の住んでいる場所は、日本の中心であると言っても過言ではない、埼玉大宮付近。家の窓から周りを見渡しても近くに山などありません。この時は都会に住んでいる自分を恨みました。ということで、困った時のGoogleマップ先生。まずは大宮付近を表示させて、左上の検索欄でひとこと「山」と検索。先生もさぞかし驚いているでしょう。普段であれば、◯◯山や□□山と検索されているはず。しかし、生徒もさることながら先生もいつも期待に応えてくれるので、平然とした顔で検索結果を表示してくれます。

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飯能の天覧山や物見山は以前登っており、そこから北にある新柵山という山は行ったことはありませんが、距離がちょっと長い(調べてみると自宅から43km)。すると、画面中央下部に目を奪われる「荒幡富士」なる山を発見。こんなところに富士の名がつく山があったのか。富士と言えば思い出すのは、去年の海から富士登山。(詳しくはこちら実録 富士登山2022 〜3776ルート編〜 ①紹介しておいて何ですが、まだ話が完結していない...そのうち、終わらせます)「海から富士」の次は、「家から富士」とはなかなか乙なものです。ということで、この荒幡富士なるものを本家Google先生に聞いてみると、所沢市に鎮座する標高119mの人工の山ということです。人工なのか。まあ、でも山は山ですし(Googleマップ先生も山マークをつけている)、登山道もあり頂上からの眺望も良いようなのでここでいいか。今月は山登りに行けておらず(100キロウォークとかやっているから、失敗したから70キロウォークか)、スケジュール的に空いているのは18日のみ。荒幡富士までどのくらいの距離か調べてみると家から25.1km、徒歩で5時間21分ということでした。日帰り登山で5〜6時間歩くことはよくあるので、ちょうど良い距離感と時間です。当日は家を朝5時に出て10時くらいに到着し、お昼頃に帰れば良いでしょう。計画は万全です。

前日、持ち物も準備を済ませあとは朝4時に起きるだけ。ですが、直前になって行くのが面倒くさい病になりました。早起きするのが面倒くさい。加えて天気も曇り気味であまり良くない予報です。というか、予定は立てましたが基本的に歩いて所沢まで行くというだけの作業。アラームを4時にセットすることなく眠りにつきました。ちなみに、この直前になって行くのが面倒くさい病は過去に何度も罹っています。一番重症だったのは、朝予定通り起き、シャワーを浴び、朝食を食べ、着替えまでして、さあ、あとは家を出るだけ、というところで諦めたことがあります。前日山に持って行く飲食物を買っておいて、結局行かずに家で食べる、という訳の分からない行動も何回も経験しております。基本的に一人で山に行くことが多いので、強制される要素(誰かと一緒に行くとか)が全くない為簡単に諦めてしまうことがあります。楽しいと感じる部分があるからここまでだらだらと続けていますが、山は遠いし疲れるし荷物重かったりで面倒くさいんですよね。では、目覚ましを掛けることなく、おやすみなさい。

当日、目が覚めたのは8時。割と早めに起床しました。起きた後はまず朝食に食パンを2枚焼いて食べます。昨日は夜眠くなってしまったので23時くらいには寝ています。山に行くことは既に諦めていますので朝食後、今日は何をしようかなと考えますが、まだ寝足りないことに気が付きます。とりあえず、ベッドの上で途中までだった映画の続きを見ます。10時に映画を見終わり、お昼の12時まで二度寝することにしました。

そして迎えた正午、アラーム音と共に再び目覚め、何の迷いも無く突如決心する、出発しようと。

雨が降る日は反省会

前回の内容はこちら擬似 TOKYO XTREME WALK 100 〜阿鼻叫喚編〜

意気揚々と挑んだこの企画も70km地点で敢え無く敗退となりました。さて、休日にも拘わらずお天気の悪い本日、家でお茶でも飲みながら要因を分析してみましょう。何事もフィジカル・メンタル・ストラテジーの3つの要素がベースになると思うので、そちらに則り考えていきます。まずはフィジカルから。当日は腹痛気味で(基本的にお腹が弱いので普段から2〜3日に1日はお腹の調子が良くない)、その影響もあってかいつも以上に行動中に食事を摂る気が起きませんでした。もともと僕は登山中や運動中にあまり食べる気が沸かず、実際食べれません。ただ、そうなると体力やエネルギーを失う一方になりそれが続くと動けなくなってしまいます。実際、今回使用していたランニングアプリの最終結果では消費カロリーが4018kcalと表示されていました(他のwebサイトで確認しても近似値(3700〜3900kcal)だったので概ね間違っていないようです)。一方、摂取した量は記録していなかったので正確な数値ではありませんが、概算すると2000kcal弱でした。これを見ると半分近くは摂取することが出来ていたので極端に少ないというわけではないですが、今回歩いた70kmやもともと歩く予定だった100kmという長い距離と行動時間に対して比較するとどうなんでしょうか。自分の体に合った消費と摂取のカロリーバランスについては今後も分析が必要です。もう一つ、別の観点でフィジカルについて考察すると脚の筋力不足が挙げられます。100キロというとても長い距離を歩き通すには脚の筋力がまだまだ足りていないと思います。これはすぐに改善が難しいものなので、普段のトレーニングで徐々に向上させていくしかありません。

続きまして、メンタルにつきまして。これは特に問題なかったと考えております。フィジカル面で序盤から調子が良くない状態だったことや蓄積されいく凄まじい疲労感の中で70kmまで到達出来たことはメンタルコントロールが出来ていたと思います。今回リタイアした決定的な要因は脚の痛みでありメンタル的な要因ではなかったことも拠り所とさせていただきます。

最後にストラテジーの部分になります。振り返ると、結局この部分が敗因の大部分を占めると思っています。そもそも100kmに対して細かくペース配分を考えず、序盤はいつもの感覚で歩いてしまいました。開始してから、休憩含め1時間5kmペースで2時間経過したら少し休憩すればいいかなくらいにしか考えていませんでした。アプリで1km毎の経過時間を確認してみると、最初の1km(最初の1kmは12分26秒。これは不明)を除く7kmまでは10分20秒〜50秒で歩いています。8kmから20km地点までは10分10秒を切るペースがなど主となり最速は9分41秒。21kmから33kmまでは10分15秒前後。その後、34km10分58秒、35km10分27秒、36km11分23秒、37km10分57秒、38km10分25秒、39km11分30秒、40km11分06秒、41km10分49秒となりこれ以降10分台で歩けていません。42kmから51kmまでは11分00秒〜12分52秒のペースで52km以降は11分台でも歩けなくなっています。52kmから70kmまでは12分22秒〜13分48秒でした。まあ、典型的な徐々に失速していくパターンですね。

今度は時間に対しての距離で考えます。休憩込みで1時間に4km歩くと25時間かかり、これでは制限時間24時間内に収まりません。もう少し速くして、1時間4.5kmだと22.2時間になります。これは24時間以内ですし2時間弱余裕が出ます。1時間4.5kmのペースを換算すると1km13分18秒くらいになります。ただし、これは休憩を含めない数値となります。1時間に10分休憩を取ると仮定すると4.5kmのペースを50分で歩く必要があります。その結果、1km11分06秒となります。このペースを守れれば1時間毎に10分休憩が取れて、かつ制限時間に対して2時間弱余裕もあります。今回の牛丼のように本格的な食事をするとなると10分では厳しく20分くらいは必要になりますし(今回の牛丼タイムは約18分だった)、とは言え後半ペースは落ちると思うので、そこに余った2時間弱を割り当てればいいでしょう。

では、この算出した1km11分06秒というペースをもとに今回の結果と比較します。まず、理由が不明な最初の1kmを除いて21kmまではすべて11分を切る速さで歩いています。22kmが11分09秒でここで初めて11分台となり、これが設定した11分06秒とほぼ同等のタイムです。その後も36kmまでは再び11分を切るペースになっています。仮に70kmまで、1km11分06秒で4.5km歩き10分休憩をキープした場合、概算すると総時間は15時間30分で内訳としては総歩行時間13時間+総休憩時間2時間30分となります。アプリを見てみると、僕の総時間は16時間11分、その内総歩行時間が13時間15分、総休憩時間は2時間56分です。70kmを13時間15分を換算すると1km11.35分となります。これまでごちゃごちゃ書いて来ましたが、結局何が言いたいかというと、今回失敗した実績時間も机上で算出したものも同じ11分台でほとんどペースは変わらないんですよね。ではなぜ今回歩ききれなかったというと一定のペースをキープすることが出来なかった。最速1km9分41秒、最遅1km13分58秒とかなり開きがあります。どうしても序盤は体力があることや距離が100kmあるという焦りが出てしまいペースアップに繋がってしまいました。休憩も均等に取れていないです。最初は疲れたら休もうという無計画状態で、結果として休憩の数も休憩時間も後になるにつれ増えています。燃費良く走るには一定の速さを保つ、これは人間にも当てはまります。一定のガゾリンでいかに効率よく100kmまで運ぶか、こういうレースだったんですね。100km実践された方も「40〜50kmであれば気力と根性で何とか歩き切ることは可能ですが、それ以上の距離を練習なしで歩ける方はかなり少ない」とおっしゃっていました。やはり作戦なくして、気合や勢いだけでは長い距離は攻略出来ませんね。

では、理論値は弾き出されましたので正しかったのか、また今度証明しに行きましょうか。

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擬似 TOKYO XTREME WALK 100 〜阿鼻叫喚編〜

前回の内容はこちら擬似 TOKYO XTREME WALK 100 〜湘南漫遊編〜

開始から30kmを超え、予想以上の疲労感に対して少し焦りすら感じています。ここまで休憩含め1時間で5kmのペースで歩いていますが、速すぎたでしょうか。今回はあまり細かくペース配分や休憩タイミングなどを決めていませんでした。登山ではないので補給が必要になってもお店は豊富にありますし、疲れたら適当に休憩して1時間5kmくらいで行けばそのうちゴール出来るだろう、というくらいにしか考えていませんでした。また、本日は行動中にあまり食欲が湧かず、持参したナッツ&ドライフルーツ以外食べていません。そのことも影響しているのでしょうか。力が湧かず疲労が蓄積される一方な気がします。しかし、疲労がない状態であれば誰でも動ける、プロは疲れてからどれだけ動けるかが勝負だ、ということで自分に鞭を打ちます。

スタートから6時間が経過し、辻堂海浜公園を通過。平塚からここまで海岸沿いを歩いて来ましたが、場所によっては砂で歩道が全て埋まりそうなところもあり、砂の上を歩くと足を取られて非常に歩きにくいです。この道も最初は楽しかったのですが、徐々にストレスになってきました。まだ、江ノ島付近まで海岸沿いの道は続いていますが、陽も落ちたということもあり国道沿いに戻ることにしました。何より、この海岸沿いの道に希望の轍が見出せなくなってしまいました。砂のない国道沿いに戻ってみるとあら、びっくり、めちゃくちゃ歩きやすい。もっと早く戻れば良かった。本日は雲がかかりぼんやりしていますが、上空には丸い月が見えます。調べてみたところ満月の1日前。狼男にでもならないとこれ以上進めません。

19:16狼男にはなれず、へろへろの状態で第二チェックポイントである湘南海岸公園クラゲ広場に到着。

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もうくったくたです。長めの休憩を取ろうか、もしくはどこかお店に入ってしっかり食事でも取ろうか悩みます。しかし、今日はいつも以上に食べる気がせず、この状態で食べたら気持ちが悪くなりそうなので、結局水分とナッツ&ドライフルーツを少し摂取して出発することにしました。横浜が遠い。横浜に到着するのは何時になるのでしょうか。

江ノ島付近からは海岸沿いに別れを告げ、方角を変えて北進、目指すは藤沢です。歩き始めてから7時間が経過し足の疲労や痛みはもちろん、肩や腰も痛くなってきました。また、気を抜くと頭痛を発症しそうな感覚に襲われています。歩くという行為に対して体全体が猛烈に拒否しているのを感じます。音楽を聴いたり、他のことを考えたり、食べたり飲んだりして気を紛らわすしかありません。夜になって気温も下がりましたが、体のエネルギーが足りないのか、この頃から少し肌寒さを感じるようにもなりました。ということで、セブンイレブンでファイト一発のリポビタンDとカレーパン、かりんとう饅頭(想像以上に固い)を購入。歩きながら食べます。しかし、食べてもエネルギーに変わる気がしません。35kmを超えた付近から1km進むことに苦労するようになってきました。賑やかな藤沢駅周辺を何とか通過します。

スタートから約8時間経過した20:32、藤沢橋付近で40kmに到達。藤沢橋を右折します。さて、わたしに新しい朝は訪れるのでしょうか。

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藤沢橋を超えて旧東海道を歩いてきます。旧東海道に入った直後、驚愕の事実。既に40km歩いて疲れきっている身としては、決して信じたくないし到底受け入ることも出来ない、登り坂の到来。その名も遊行寺坂。楽しそうなのは名前だけ。登れども登れども続く登り坂。おいおい、どこまで続くんですかと焦ります。予想外の坂道の襲来に精根尽き果てかけている僕は、後続のサラリーマンの方に追い抜かれてしまいました。トレーニング効果抜群の素敵な通勤ルートですね。泣きながら坂を越えた先で、お久しぶりの国道1号線に合流します。

21:30吐き気を催してきました。45km地点です。開始から9時間経過したこの頃から、疲れを感じては道端に座り込むようになりました。藤沢を抜けて横浜市戸塚区に入りましたが、所々アップダウンが出現します。そういえば、横浜は坂道が多いイメージがあったなあ。その後も国道1号線を進み、十ノ区あじさい公園という場所からは下る形で戸塚駅へ向かいます。戸塚駅では嫌でも電車が目に入ります。現在時刻は23:00前です。電車に乗ればまだ帰れる、という誘惑に本当に負けそうになります。もう、帰りたいです。

22:48開始から10時間経過しました。50kmです。あと半分の距離です。よしよしっ、あとはもう減るだけです(最初から減っている)。しかし、何とか保っていた休憩込みで1時間5kmのペースが少し遅れるようになりました。もう脱落しそうです、源さん。
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戸塚駅を通過した後にコンビニでレッドブルを購入し飲みましたが、1mmも元気が湧きませんでした。1本じゃ足りないのでしょうか、果たして何本飲めば翼を授けられるのでしょうか。

23:40スタートから11時間経過。現在53km地点です。今までのペースと比較すると、2km程遅れています。もう取り戻すのが難しい距離です。まあ、もう取り戻す気力はありません。

23:54保土ヶ谷区に入りました。
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スマホのメモ書きには「もう鼻血出そう」の文字。端的に当時の心境を物語っております。断続的に保土ヶ谷でも坂道は襲って来ます。

00:01日付けが変わった頃に第三チェックポイントである横浜市児童遊園地付近のロピア権太坂店というスーパーの自動販売機前で休憩。店舗名でお分かりの通り、ここも坂です。第三チェックポイントでは、本来園内に入りとある地点まで行って戻って来るようですが、もうそんなことをしている余裕はないので通過するだけにします。休憩中、今回は体調や調子があまり良くないということもありますが、作戦ミスだったなと感じました。というか作戦など立てずにいけるでしょ、くらいにしか考えていませんでした。とてつもなく距離が長いレースでは作戦が本当に大切だ、という話をよく聞きます。勢いや気合だけでは決してゴールに辿り着けないからです。今、まさに身をもって体感しています。自動販売機で購入したコーンスープを飲んで再開。

00:18夕方海岸沿いを歩いている頃から感じ始めた左足首の痛み(靴の甲部を覆っている部分が足首に当たり痛い)が耐えられなくなったので靴と足首の間にハンカチを挟みます。少し楽になりました。

00:40スタートから12時間が経過。100キロ完歩出来るか疑問になってきました。1km毎のタイムが如実に遅くなっています。

00:59保土ヶ谷駅手前で痛恨の道間違い。しかも坂道を登ってしまいました。時間のロスや体力の消耗、絶望感。咆哮。これは取り返しのつかないミスです。深夜の保土ヶ谷に僕の泣き声が響きます。

時刻は1:38、60km到達。今までのペースと比べると1時間分の5km程遅れていますが、もうペースは気にしません。制限時間である24時間以内にゴール出来れば良いでしょう。高校生の頃によく聞いていたGLAYを聞いても全然元気が出ません。
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残り40km、最後の10kmは体がどんな状態であっても気合で歩き抜けると思っています。その為、実質残りはあと30kmだと自分に言い聞かせて奮い立たせます。保土ヶ谷駅通過後は西横浜駅を超えた付近から南下し、黄金町や阪東橋方面を目指します。反時計周りで横浜の観光地エリアを巡り、また国道1号線に戻って来るルートを辿ります。

02:10阪東橋駅を過ぎたところで空腹を感じ食事を取れる気がしたので、すき家に入店。牛丼たまごセットを注文。今回の行程で初めてしっかりとした食事を摂ります。牛丼はカロリーが高い(今回注文したたまごセットは800kcal強のようです)為、きっとエネルギーになってくれるに違いない。いよいよ、あと少しで楽しみにしていたザ・横浜エリアです。ちょっとは元気が出るでしょう。

だが、しかし...

牛丼食べたのに全然力が湧きませんでした。信号待ちの間立って待っていられず、段差を見つけてはしゃがみ込みます。

03:05横浜スタジアムを通り過ぎて、大さん橋に到着。遠かった。本当にここまで遠かった。藤沢以降の戸塚や保土ヶ谷が地獄のように感じました。
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大さん橋には豪華客船が2隻泊まっていました。それ以外はド深夜の為、横浜の中心地と言えども真っ暗で夜景を見ることは出来ません。何しているんでしょうね、わたしは。

この頃には、もう1kmが長くて長くて歩き通せません。歯を食いしばりながら(こんなことをしているから歯医者に歯ぎしりをしていると診断されるのでは)象の鼻パーク、赤レンガ、汽車道と通過した後、日本丸メモリアルパークでトイレ休憩。疲労と脚の痛みで、せっかく横浜のメインエリアを歩いているのにちっとも楽しくありません。

時刻は03:50すぐ近くには桜木町駅があります。あと30分程待てば始発が出ます。死ぬほど迷いました。正直気持ちはもう切れています。もうまるきり1時間5kmペースでは歩けなくなっています。時刻はまもなく4時です。残りは32〜33kmあります。1時間4kmで歩けば制限時間に間に合いますが、正直そのペースで歩けるかさえ疑問です。ここでいったん長めの休憩を取ろうか。しばらく悩んだ結果、第四チェックポイントのポートサイド公園がこの先1.7kmにあります。とりあえずそこまで行って考えることにしました。
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04:23脚を引き摺るようにしてポートサイド公園に到着。横浜って、ひとつひとつがこんなに遠かったっけと思ってしまいます。さて、前述したように残り10kmは脚がなくなっていたとしても気合で這ってゴールに辿りつける自信があります。ここからゴールまでは約30kmです。10kmを差し引くと本当の勝負はあと20kmです。さあ、ついに終盤戦と言っても良いでしょう。

それでは、結果発表です。

 

 

 

 

 

 

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歩行距離:70.1km 歩行時間:16時間11分(休憩時間含む)

正直桜木町付近でもう諦めていましたが、その時点で66.5km程でした。そこから約3km先に東神奈川駅がちょうどあったので、第四チェックポイントを経由し見栄でそこまで歩いて70kmで終えました。右足の太腿の内側及び付け根の痛みで少し足を引き摺るようになっていましたので、これ以上無理に続けても故障につながってしまう恐れがあり、断念することにしました。

最終的に4/6 04:51 東神奈川駅でリタイアです。

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完敗です。朝を迎えることも、神奈川県を脱出することさえも出来ませんでした。全然ダメでした。靴下に穴も開きました。しかし、開始2時間で早くも疲労を感じ始め、30km地点でヘロヘロになっていたので、そう考えれば70kmまでよく頑張ったかなとも思います。意気揚々と100キロウォーク挑戦を宣言したにもかかわらず、達成することが出来ませんでした。期待してここまで読んでくださった皆さま、申し訳ございません。しかし、失敗も曝け出して、また強くなりたいと思います。それでは最後までご清覧いただき、ありがとうございました。また、ご声援よろしくお願いします。

おわり

擬似 TOKYO XTREME WALK 100 〜湘南漫遊編〜

前回の内容はこちら擬似 TOKYO XTREME WALK 100 〜開幕編〜

スタートから2時間が経過しました。いつもの山行であれば1〜2時間体を動かすとウォーミングアップ完了とばかりに体が動くようになりますが、今回はそうではなく、ここまでの2時間分がそのまま疲労として蓄積されているだけのように感じました。調子がイマイチのサインですね。というでその30分後、コインランドリーの外のベンチをお借りして本日最初の休憩を取ることにしました。気温はそこまで高くありませんが歩き続けていると暑さを感じるので半袖です。ここはアイスコーヒーでも飲んで喉を潤します。同時にカフェインも摂取することが出来るので心も体もリフレッシュという我ながら素晴らしい作戦。ベンチの隣の自動販売機で購入し、取り出し口に手を突っ込んだ瞬間、指先からぞくぞくと伝わる違和感。予想外の感覚に僕の脳は瞬時に理解が出来ませんでした。想像以上のやさしい感覚とあたたかさ。ホットコーヒー。ホットとコールドを識別出来ないほどもう疲れています。やさしさとあたたかさは人生において誰もが渇望しているものですが、今だけは違うんだよなあ。仕方がないので、持参したナッツ&ドライフルーツと一緒に流し込みます。

本日は、予想より天気が良く暑過ぎずちょうど良い気候です。こんなバカな企画にお天道様が応援してくれているのでしょうか。頑張らないといけません。

休憩後、新不動橋というところを超えた先で気になる場所を発見。

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突如現れたしげるの家。国道1号線の進行方向に対して右側がしげるの家で庭園もあるようです。左側は大磯城山公園となっています。雰囲気が良さそうだったので是非とも寄りたい気持ちはありましたが、先を急ぐ身の為通過します。少し前には大磯ロングビーチもありました。ゆっくり観光したいものです。ただ、大磯に入ってからは歩道に松の木が茂り、それまでとは少し違った趣で気分転換になりました。その後、大磯駅付近では新島襄終焉の地碑なるものがございました。彼の存在は、我が地元群馬の上毛かるたの「へ」で「平和のつかい新島襄」と小学生の頃から存じ上げておりました。何をした人なのか、なぜ群馬のかるたに出てくるのかは僕の説明では齟齬が生じてしまう可能性がある為、是非WikipediaGoogle先生にでも聞いてみて下さい(ただ知らないだけ)。大磯は偉人と縁が深いようです。海も近いし気持ちがいいからかな(そんなわけない)。

スタートからおおよそ3時間経過した付近では頭上の看板に江ノ島の文字が見えました。

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さて、大磯駅付近を通過後は国道1号線とは別れて海沿いの134号線を進むことになります。少し道を間違えましたが、無事134号線に合流。平塚市に入ります。
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それから20分くらい東進したところで、高浜台歩道橋から海岸へ出ます。ここから江ノ島までは川を越える為一部国道に戻る部分もありますが、基本的に海岸沿いを歩くことになります。海岸沿い歩きが出来ることは、今回の挑戦における数少ない楽しみのひとつです。あと面白そうなところは横浜のみなとみらいです。

ということで開始から約4時間経過、湘南の海沿いを歩いて行きましょう。f:id:takayuuuuu:20230408213009j:image

夕方の雰囲気が出てきて良い感じですね。写真の右側が歩道になっています。歩道にも結構砂がすごいです。f:id:takayuuuuu:20230408212955j:image

遠くからは海沿いで凧揚げをしているのかと思いましたが、ウインドカイトと呼ばれるものだそうです。パラグライダーとウェークボードを組み合わせたようなものでしょうか。強風の為絶好のウインドカイト日和です。強風過ぎてやや心配になるくらいです。海岸の上空では恐らくパトロールをやっているであろうヘリが終始飛んでいました。ウインドカイトでは波が来たら勢いをつけて飛びます飛びます。数秒でしたが本当にふわっと空を飛んでいる姿に感動しました。

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その先では、学生たちがビーチバレーを楽しんでおりました。いや、青春だ。ここがスタートからちょうど4時間経過した場所になります。
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ビーチバレー場から少し先の平塚海岸展望休憩所からはうっすらと伊豆大島と思われる島影が見えました。そして、16:49第一チェックポイント地点である平塚しおかぜ広場に到着。ようやくひとつ目のチェックポイントです。特に何もありません。ここで5分程度休憩をして再開。
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一旦134号沿いに出て、トラスコ湘南大橋(1986年生まれ、1年先輩)という長い橋を渡って茅ヶ崎市に突入。
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トラスコ先輩を渡った先で、またすぐに海岸沿いに戻ります。おお、遠くにはついに江ノ島が見えるようになりました。少し感動。いやあ、しかし、疲れたぞ。全然横浜まで辿り着きません。
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サザンビーチに差し掛かりました。振り返るとうっすらですが、富士山が。
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サザンビーチということで、ここはサザンを聴きながら歩くっきゃない。海沿いは気持ちが良いです。普段山ばっかり行っていますが、海もいいものですね。山はなるべく若いうちにやって、歳とったら海を楽しむという憧れを密かに持っています。そこから更に進んで行くと、ありました。有名なこれ。初めて生で見たので感動しました。

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おお、ちょうどCの間に人が通っていますね。海岸沿いでは、家族や友達、恋人などみなさんそれぞれに楽しんでいてとても良かったです。今回の行程全体を振り返っても一番思い出に残る場所でした。

ということで、18:23サザンの名曲とともに30km到達。
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もう少しで全体の3分の1に到達します。海岸沿いではリフレッシュが出来た一方で、脚は確実に疲労が積み重なっています。ちょこちょこと小休憩を取るようになってきました。日も暮れ始め、ここからは長い長い夜のパートがやって来ます。

つづく

擬似 TOKYO XTREME WALK 100 〜開幕編〜

前回までの内容はこちら擬似 TOKYO XTREME WALK 100 〜プレス発表編〜

さて、いきなりですが謝罪と訂正。改めてゴール予想時刻から逆算すると、深夜になった場合始発が出ておらず有明付近で路頭に迷うこと、午前7時スタートとなると朝3時起きで家を出る必要がある為、開始時刻を変更することにしました(どちらかというと後者。ただの怠け者。まあ、前日はしっかり休んで備えた方が良いということにしましょう)。

ということで、当日9時過ぎに家を発ち電車に揺られて小田原へ。到着後、腹が減っては戦は出来ぬということで駅ビル内でうどんを食べ、出陣の地である小田原城へ向かいます。小田原は実は初めて訪れました。駅付近のお店が昔の建物風になっていて、その並びにイケメンローソンもありました。小田原城は駅から歩いてすぐのところにあります。せっかくなので天守閣を見に行きます。散り始めでしたがちょうど桜と城が相まって、ザ・日本を感じられ、また春休み中の学生や海外からの観光客も多く、それがまた観光地の趣を引き立てとても良い雰囲気でした。お気に入り登録です、小田原。曇りがちだったのがちょっと残念。

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さてさて、楽しそうな観光に紛れておりますが、ランニングか登山でもやるのかという場違いなウェアとリュックにシューズを纏った僕はここから一仕事始めなければいけません。ここから徒歩で有明まで行くなんていまだに信じられません。小田原城が現役であった頃ならまだしも、車の自動運転が実用化されているこの現代社会において、徒歩で江戸に向かう傾奇者がいるとは、小田原城主も天国で驚いていることでしょう。

しかし、100キロとは気の遠くなる距離。全くイメージが出来ませんので、身近なものに例えてみたいと思います。近所の自衛隊の敷地一周2kmであれば50周、いつも歩いている家から駅まで(片道2.3km)だと22往復。うーん、これもまだあまり実感が湧きません。気合いが入っている時に走るバイパス沿いのランニングコース(往復20km)だと5往復。お、これならグッとイメージが出来る様になりました。走るわけじゃないから5往復とていけるでしょう、と強く自己暗示をかけ、軽くストレッチをしてから4月5日12時40分、小田原城銅門からレッツスターティン。

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まずは駅周辺の商店街を通り抜け、国道1号線を目指します。商店街にはカフェや食事処など随所に気になるお店が並んでいます。普通に観光したいです。楽しかった小田原城周辺とは一瞬でお別れし、国道1号線に合流。基本的にはこの道を東京方面へひたすら進みます。ちなみに今回は距離と時間を測定するためにナイキのランニングアプリを使用しています。ついでにリュック内の持ち物を紹介します。飲食物としては水500mlと今回の旅のお供に選ばれたナッツ&ドライフルーツ。高カロリーの為行動食としてお馴染みのナッツにドライフルーツもあることで味も楽しめます。今も食べ残りをボリボリ頬張りながらこの記事を書いております。ナッツの塩味とドライフルーツの甘酸っぱさがマッチして美味しいです。マジでうまいな、今度また持って行こう。今回は山ではなく、且つ国道1号線沿いという大きな通り沿いの為、コンビニや飲食店が点在していますのでほとんど飲食物を持参していません。これはとてもありがたい。続いて衣類はレインコート上下とタオル一枚。こちらもまた必要最小限。雨は降らない予報ですが、夜間寒くなった時にレインコートを持っていると羽織ることが出来ます。最後に夜間用の腕につけるライトとヘッドライトを一つずつ。あとは財布とテッシュにモバイルバッテリーくらいですね。足りなくなったら購入出来るので今回は荷物がないようなものです。荷物が軽いことは非常に良いことです。

国道1号線は歩道がちゃんとあるので歩きやすいですが、車通りが多いことが難点。ここを長時間歩くのかと考えると少し気が引けます。スタートしてから約30分後、頭上の看板に初めて横浜の文字が見えました。

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53kmもあるんでしゅか。驚きのあまり、でしゅかになってしまいました。半分以上じゃないですか。

国道1号線に出てから程なくして何となく潮の匂いがするなと思っていましたが、山王橋というところから右方向に海が見えました。ああ良かった。ずっとこの車と建物に囲まれた人工的な空間を歩くより自然を少しでも感じられ方が気分転換にもなります。それから2km進んだところに今度は東京の文字が現れました。

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まだスタート直後ですし、そうなりますね。しかし、83kmなんて辿り着けるイメージが湧きません。

先程この国道1号線に対して人工的だなどと文句を言っていましたが、美味しそうなイタリアンやスイーツのお店など、ところどころ気になって目に留まります。そして、駅伝のキャラクターがプリントされた自動販売機があったので気づきましたが、そういえばここは箱根駅伝のコースになっているんですね。こちらは襷を渡す相手も居らず、当然沿道の応援もなくひとりで頑張っております。

スタートして1時間経過したところで国府津エリアに入りました。この国道1号線は自転車勢も多く、僕が歩いている反対車線側を本格的な自転車愛好家たちが颯爽と東京方面へ向かって行きます。多くはグループで走っています。あれに乗れたら早いだろうなあ、何時間くらいで東京まで着くんだろう、などと考えても無駄なことが頭によぎります。また、国道沿いを歩いているだけで既に暇になっておりますので、対向車の車内でマスクしている人としていない人の数を数え出します。どんどん対向車が来ますのでテンポ良く数えることが出来ます。圧倒的にしていない人の方が多かったです。割合として90%はしておりませんでした。もちろん、僕も。

開始から2時間経過した頃、距離としては10km程でしょうか、二宮駅付近までやって来ました。ちょろっとしたお店や住宅が続く変化が乏しい国道沿いを歩いています。この国道沿いを歩き続けるという単調な作業の為でしょうか、認めたくありませんが早くも少し疲労を感じております。加えて沸々と湧き上がるもう辞めたいという気持ち。体の調子もいまいち上がって来ません。

さて、開幕直後からこの状態。まだまだ先が見えないこの挑戦、この後どうなってしまうのでしょうか。

つづく