どこまでも歩いていく

歩きながら考える。主に山登りとか。

温泉旅行 岩木山・八甲田山編①

わたくしは肌が弱く、荒れたり痒くなってしまったり顔から指先、足にかけて全身に肌トラブルを抱えております。初夏に入り、肌の状態が芳しくなく、いよいよ皮膚科にも通うようになりましたのでここはお湯の力も借りようかと思います。ところで、湯治とはよく言ったもので、温泉に入るとなるほど確かに肌の状態が良くなります。温泉の近くに住む方は毎日温泉に入ってお肌がきれいと良く言いますしね。ということで、2連休がございましたので湯治の旅に出ることにしました。

今回選定させていただいたのは、青森県の嶽温泉と酸ヶ湯温泉。決して岩木山八甲田山が近くにあるからという訳ではございません。嶽温泉と酸ヶ湯温泉の近くにたまたま岩木山八甲田山があるので、せっかくだから登ったあとに温泉に浸かろうという魂胆です。

夜勤明けの3時間睡眠で夜行バスに乗り、狭い車内でうとうとしながら寝れたのかどうかわからない状態で朝8時過ぎに弘前駅に到着。次のバスまで少し時間があるのでマクドナルドで朝食をとり、9:10 嶽温泉方面行きのバスに乗車します。平日の朝なので弘前駅周辺は渋滞していました。弘前城の脇を抜けて郊外へ向かって行きます。

しばらくすると正面に岩木山が見えてきましたが、中腹から頂上にかけて分厚い雲が懸かっています。あの雲の中は雨になっているんじゃないかと不安になるほど。もともと6月の梅雨の時期ということもあり、計画を立てた時点で台風が来ていない限り雨が降っていても登りに行こうとは考えていました。

あ、ちなみに前歯は治しましたので、堂々と口を開けることが出来ます。数年後忘れた頃にウィダーインゼリーの飲み口を前歯で齧ってまた欠けるんでしょうが。

岩木山はいくつか登山ルートがありますが、今回は嶽温泉のある嶽コースを往復することにしました。当初は岩木神社が起点となる百沢コースから登り、嶽温泉まで降りてくる周回コースが面白いかなと思いましたが、百沢コース上部に雪渓があり、YAMAPなどで事前情報を確認するとまだけっこう雪が残っているようなのでビビって断念。あと雪渓用の装備を持っていくのが面倒くさいという体たらくな理由。念の為チェーンスパイクは持参します。

岩木山に近づくと左右にはりんご畑というまさに青森を象徴する景色が広がっていました。そして10:10 嶽温泉に到着。

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ここ嶽温泉は江戸時代に作成された、温泉番付なるものに名を連ねていたそうです。見にくいですが「津軽嶽の湯」と記載があります。ちなみに東の大関草津温泉、西の大関有馬温泉となっています。この温泉番付に載っている温泉を巡るというのも面白そうですね。

10:17 それでは本日も元気に登山開始です。まずは八合目のリフト乗り場までひたすら登って行きます。その間のコースタイムは2時間35分、標高差は約800mとなっています。基本的には岩木山はどのコースも登りは登りだけ、下りは下りだけという富士山スタイルです。

雨が降っていた影響か地面がぐちゃぐちゃで水溜まりになっている場所もあります。また、土や木が濡れていて滑りやすくなっています。スタート直後は周囲の木々も背が高く道幅もありますが、徐々に道幅は狭く木々に圧迫されジャングルのような雰囲気を感じます。気温はそこまで高くありませんが、周囲が樹林帯で風が遮られ湿度が高い為全身から汗が吹き出します。

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途中で百沢コースから周って来た男性と話したところ、けっこう雪があって大変だったおっしゃっていました。こちらのコースにしてひと安心です。

11:16 開始から1時間ほど経過。八合目のリフト乗り場までもうすぐ。しかし、早くも疲労と集中力の低下を感じます。ひたすらジャングルの中を進むことに嫌気がさしています。

11:30 八合目リフト乗り場に到着。どん曇りです。下から登らなくても岩木スカイラインを経由して車やバスでここまで来て、八合目からリフトで九合目まで行くことが出来ます。今回も持参しているデカビタのゼリー飲料でエネルギーを補給。リフト乗り場の脇から再度登山道に入り再開します。

ところが、僅か5分後、少し段差が高い部分で右足を前に出して踏ん張った瞬間、

ピキーンッッッッッッ———

「痛っっっっ」。

右ふくらはぎをつりました。痙攣です。即座にその場にしゃがみ込み、右手でつま先を掴んでふくらはぎを伸ばしますが、痛さに悶絶。はい、もう岩木山登山終了です。僕は一度痙攣を起こすと基本的に再起不能になります。ストレッチをしても一日中痛みが残ってしまいます。夏の暑い時期になると水分が足りないのか運動中に痙攣を発症させることが割とあります。山で足をつった思い出は数年前の谷川岳西黒尾根、その時も夏真っ盛りでした。振り返ると確かに注意を怠っていました。夜行バスによる長時間移動と寝不足の状態にも拘らず、早過ぎるくらいのペースで突き進み汗も滝のように吹き出しています。メジャーリーガーも何が大変かと言うと移動だ、というのを誰かが言っていたことを思い出しました。

まあ、しかし、わざわざ遠路はるばる青森まで来ているので「まだ俺には左足がある!!」と沈んんだ自分の心に無理やり言い聞かせ、足を引き摺りながらも登ろうと思います。が、実際テンションはガタ落ちしています。痙攣を再発させないように右足を先に出さず、左足を頼りにのっそりと前に進みます。まるで先ほどとは別人のようです。

11:59 えっちらおっちらと足を引き摺りながらリフト方面からの合流地点まで辿り着きました。f:id:takayuuuuu:20230620200103j:imageここまで来るとそれまでのジャングルとは様子は一変し、九合目以降はゴツゴツした岩がたくさんあります。これが岩鬼山とも呼ばれる所以でしょうか。
f:id:takayuuuuu:20230618183849j:image上空では雲の隙間に少し晴れ間がのぞきます。

f:id:takayuuuuu:20230618183820j:image12:03 頂上が見えて来ました。
f:id:takayuuuuu:20230618183814j:imageその後も右足に負担を掛けないよう、着実に歩を進め、

12:24 岩木山山頂に到着。
f:id:takayuuuuu:20230618183811j:image山頂にある岩木山神社奥宮で無事登って来れたことに感謝を表し一礼。

f:id:takayuuuuu:20230618183830j:image残念ながら雲が多すぎて下の景色が全く見えません。まあ、雨に降られなかっただけましですね。では、下山に取り掛かりましょう。山頂直下はやや急登で少し滑べりやすいので、踏ん張った際にまた足をつらないか心配です。

13:10 足をつらないように怯えながら下山を続け、リフト乗り場まで戻って来ました。世界は暗く霧に包まれています。駐車場では視界が殆どありません。

15分程休憩して再開。ここから先はまたしばらく続くジャングル中を降りなければなりません。僕が転ぶのを誘うように湿った土や石が待ち構えています。後半は集中力も切れたせいかツルツル滑りがちになってしまいましたが、何とか持ち堪え、ラスト2.5kmとなると傾斜も緩やかで道幅も広くなったので調子に乗ってランニングをかまします。これまた数時間前に足をつった時とは別人のようです。

14:30 嶽温泉まで戻って来ました。いやあ、無事戻って来れて良かったです。登山が終わって勝利の乾杯をしようと自動販売機に向かうと、

北東北限定だとおっ!
f:id:takayuuuuu:20230618183853j:imageしかし、結局買ったのはいつものこれ。温泉番付と共に乾杯。
f:id:takayuuuuu:20230618183843j:imageそれではお楽しみのお風呂タイム。事前にネットで調べたところ、山のホテルで日帰り入浴が可能らしい。が、閑散としていてどう見てもやっている気配がない。 

f:id:takayuuuuu:20230618183837j:image小さな温泉街なので他に温泉に入れるところがあるのか不安に思いましたが、隣の小島旅館は玄関が空いていて、入浴できますの張り紙あり。
f:id:takayuuuuu:20230618183846j:imageということで、今回はこちらの小島旅館さんでひと風呂浴びます。しかも、大人一人400円という安さ。中に入ると、まさに古き良き旅館という感じです。しかし、玄関には誰も人がおらず、キッチンの方から物音がするのでそちらに向かい旅館の主人の方なのか声を掛けると、「やだ、恥ずかしいから外で」と言われました。恥ずかしい?と首を捻りましたが、先程と違う点と言えばマスクをして出て来た主人に400円を支払いお風呂に向かいます。

温泉は10人も入ればいっぱいになってしまう控えめの大きさです。洗い場に置いてあるのは石鹸とボトルに入った謎の液体のみ。液体はシャンプーで合っているか不安もありましたが、頭に乗せてみると泡立ったので間違いないようです。洗った後は髪の毛も体もパリパリのぱっつんぱっつんです。一方で温泉は乳白色で非常にまろやかです。左右でぬるめと熱めに分かれています。ぬるめの温度が絶妙で一生入っていられると錯覚するほど気持ちが良く、まさに至福のひとときです。先客も一人しかおらず、すぐに出ていかれたので貸切状態です。熱い方にも入ってみると肩までつかることが至難な程に熱く、こちらは癒されるというより沸々と情熱がみなぎる感じがします。存分につった足をストレッチをして温泉を後にします。というか、登山中に足をつったことで湯治に来ているという本来の目的をすっかり忘れていました。

それからは弘前駅にバスで戻り、電車で青森駅へ移動。青森駅到着後は少し駅前を観光します。いやー懐かしい。前回青森に来たのは8年ぶりくらいでしょうか。さゆりちゃんの名曲の碑と青函トンネルが出来るまで青森と函館を結んでいた八甲田丸のコラボ。f:id:takayuuuuu:20230618183840j:imageザ・青森。あれ、前来た時これあったかな。
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夕焼けが映える帰り道。
f:id:takayuuuuu:20230618183833j:image翌日は八甲田山を予定しています。夕焼けの次の日は晴れるってよく言いますよね。明日が楽しみです。

つづく