どこまでも歩いていく

歩きながら考える。主に山登りとか。

初めてのOZE 燧ヶ岳編

久しぶりのキャンプで緊張してたのか、はたまた翌日が楽しみ過ぎてわくわくしていたのか、あまり眠れず一度22時ごろに目が覚めます。(ちなみに就寝は19時前)さすがに早すぎるので寝袋に潜り込み再び就寝。しかし、その後もあまり熟睡出来ずに1時過ぎにまた目が覚めます。その後も3時までは何とか寝ようと目を閉じてゴロゴロしますが、結局眠れず2時に起床。朝ご飯の準備を始めます。メニューは日清のカレーメシとエネルギーゼリーとチョコレートクッキーです。カレーメシは最近のお気に入りです。味も美味しいことと400kcal強あるのでそれなりに高カロリーです。そういえば、昨晩テント内でコーヒーを飲みましたが、これも美味しく感じましたね。ただのインスタントコーヒーでしたがキャンプ効果ですね、良いことです。朝食を食べ終わった後は出発の準備を整えます。

03:02 それでは、出発進行。外は小雨が降っていて、まだ真っ暗なこの時間帯は少し涼しいのでレインウェアを羽織ります。キャンプ場の目の前の道路沿いを南西に進んで行きます。まず、目指す場所は福島県側から燧ヶ岳を登る際に登山口となる御池になります。御池には駐車場やトイレ、御池ロッジと言う宿泊施設もあります。御池までは車やバス、バイクで行くことが出来ます。徒歩で御池に向かっている僕は、開始してから30分経過したところで七入という場所に到着しました。七入にも山荘とキャンプ場があります。ここでいったん道路と分かれます。そして、御池方面と帰りに通ることになる沼山峠方面への沼田街道分岐があり、御池方面へ向かいます。ここからは遊歩道という名の山道へ入って行き、川沿いに進んで行きます。途中でモーカケノ滝なるものがありますが、まだ暗いのでどこにあるのか分かりませんでした。進行方向はまだ暗く、ヘッドライトの光を頼りに歩いていますが、背後には木々の隙間から黄金色の空が見え、夜が明け始めています。

04:10 滝を過ぎた少し先で再び道路に合流。しかし、ここまで一時間歩いて来ましたが、とにかく眠い。頭も体もぼーっとしています。昨晩あまり眠れなかったことやまだ早朝だからでしょうか。半分寝ながら車道を歩いて行きます。

04:35 車道から分岐し木道がある湿原へ入りました。前方に見える山の斜面が、背後からの太陽の光に照らされます。f:id:takayuuuuu:20230710083533j:image発見、巨大キノコ。
f:id:takayuuuuu:20230710083434j:image04:50 御池に到着。まだ寝ぼけているので自動販売機でブラックコーヒーを購入してカフェインを摂取します。その後、小休憩を挟んで再開しますが、登山口がどこにあるのかすぐ分からず、周囲をうろうろしてしまいます。正解は駐車場の奥の方にありました。登山口から先は木道が整備されているところが多くありますが、この木道が少し厄介で時々めちゃくちゃ滑る。昨晩から今朝にかけて小雨が降っていたことも影響しているのでしょう。木道なので心理的に安全と思い込んで歩いてしまいますが、一度頭から後方にひっくり返るんじゃないかという感じに滑って恐怖を感じました。また、場所によっては木道が壊れていて、足を乗せるとひとりで乗っているシーソーのように踏み込んだ方へ傾くこともあります。晴れて乾いている状態であれば基本的には問題ないかなと思いますが、雨模様の際にはご注意です。木道歩きの先では、ゴツゴツした大きめの石を登って行くような少し急登があり標高を上げていきます。

05:41 だいぶ空が晴れてきました。汗も滴ります。
f:id:takayuuuuu:20230710083500j:imageここまで登って来ましたが、全然山頂っぽいものが見えず燧ヶ岳がどこにあるのか分かりません。

開けた場所に出ました。この辺は広沢田代と呼ばれる湿原になります。f:id:takayuuuuu:20230710083408j:imageうっひょー、最高じゃないですか。誰もいないので、朝の湿原を独り占め。周囲には複数の池塘が存在します。f:id:takayuuuuu:20230710083339j:image
池塘に太陽が反射します。
f:id:takayuuuuu:20230710083558j:image歩いて来た道を振り返ります。キモティー
f:id:takayuuuuu:20230710083405j:image広沢田代を満喫した先ではまた少し傾斜のある場所を登って行きます。

06:07 5合目の表札を発見。というか、まだ5合目なんですね。割と登って来た感覚はありましたが。
f:id:takayuuuuu:20230710083536j:image先ほど通って来た広沢田代が遠くに見えます。
f:id:takayuuuuu:20230710083539j:image06:17 再び開けた場所に出ました。雲がかかっていて見えずらいですが、ようやく燧ヶ岳の山頂が姿を現しました。ここは、熊沢田代という湿原地帯になります。
f:id:takayuuuuu:20230710083437j:imageうーん、とても素晴らしい景色が目の前に広がっています。
f:id:takayuuuuu:20230710083605j:image尾瀬で一番美しい場所と言われることもあるそうです。まさに、天空の庭園。メインである尾瀬ヶ原尾瀬沼がある方とは反対側に位置し、逆方向から来る場合燧ヶ岳を越える必要があるので時間はかかりますが、ここは来ないともったいないですね。朝の雰囲気と誰もいないシチュエーションということも大きく影響しているかと思いますが、僕にとって今回の尾瀬山行で一番良かった場所かもしれません。

池塘の目の前にベンチがあるので休憩を取ります。
f:id:takayuuuuu:20230710083611j:image池の色は神秘的なディープブルー。そして、絵に描いたように水面に映る雲。あまりの美しさに溜息が漏れます。僕は、アラスカへ行ったりしていたのでその経験も含めてになりますが、自然に驚かされるところは、人に見せる訳ではないのにそこに絶景が広がっていることです。そして、また不思議なことに人間もその景色を見つけてしまうんですね。例えば、今僕がいるこの熊沢田代もいつかは分かりませんが遥か昔に自然活動の中でこの地形が完成され、もちろんそれは人に見せようとしてこんなに美しい姿になった訳ではありません。後で誰かが見てくれる保証もありません。それなのに、どうしてこれ程までに素晴らしい姿形をしているのでしょうか。そして、現代に生きる僕がこの景色を見ることが出来るのは、過去に誰かが発見してくれたからです。きっと、最初に発見した人がここ良かったよーと誰かに伝えて徐々に広がり今に至るのでしょう。今や、この地球上に地理的空白はほぼ消滅していると言われる時代です。つまり、どこでも誰かが行っているんですね。この自然の不思議さとその美しさを求める人間の飽くなき探究心には驚かされます。そんな自然と人との浪漫に浸りながら先を進んで行きます。

7合目を超えた先で現れる雪渓。f:id:takayuuuuu:20230710083359j:image事前情報で確認していましたが、この雪渓は少し距離があります。前回八甲田山でお姉さんにチェーンスパイクをあげてしまったので、今回は新たに購入したものを持参しています。f:id:takayuuuuu:20230710083402j:imageしかし、持って来ているのに、チェーンスパイクを装着するのが面倒臭いという愚かな理由でそのまま登り続けます。雪の状態は緩くズボッと踏み抜くことがありますが、底は浅いので問題ありません。ただ、下りはチェーンスパイクがないと難しいかもしれません。そこまで傾斜がある訳ではありませんが、距離が長いので一度滑ったら下まで止まらなそうです。

雪渓を無事登り終えて、振り返るとだいぶ標高が上がっていることを感じます。f:id:takayuuuuu:20230710083601j:image山の上など高い位置から景色を望みたいという気持ちは、古のクフ王がピラミッドを建設した時から我々に継承されているのでしょうか。(たぶん違う)f:id:takayuuuuu:20230710083542j:image9合目となれば山頂はもうすぐ。
f:id:takayuuuuu:20230710083454j:image07:19 燧ヶ岳の山頂の一つである俎嵓(まないたぐら)に到着。真っ白。そんなバナナ。
f:id:takayuuuuu:20230710083530j:image山頂には誰もいませんでした。燧ヶ岳には5つのピークがあり、この俎嵓とその先にある一番標高が高い柴安嵓(しばやすぐら)が有名です。俎嵓では祠に一礼して柴安嵓を目指します。

07:35 柴安嵓(標高2356m)に到着。 f:id:takayuuuuu:20230710083447j:imageこちらも山頂には誰もいませんでした。尾瀬って有名だから誰かしら登山者がいるかと思いましたが、平日で早朝だからですかね。

見晴らしと記載された表札があったのでそちらへ移動しますが、あちゃー、どこに何があるのか全くわからない。
f:id:takayuuuuu:20230710083555j:imageまあでも思ったより早く山頂に着いたので休憩しちゃお。ついでに望みは薄いことは承知で景色が見えるようになるか少し待ってみます。

その後、30分山頂で粘った結果がこちら、f:id:takayuuuuu:20230710083520j:imageほとんど変わらない…。一番良い時で尾瀬ヶ原と思われる湿原地帯がうっすら見える程度でした。残念ですが、諦めて下山に取り掛かります。前回の岩木山八甲田山もそうでしたが、最近山頂からの景色を拝めていないですね。まあ、山頂からの景色が全てじゃないから、と自分に言い聞かせて気を紛らします。

少し下った場所から山頂方面を振り返ります。まだ雲が掛かっていますね。
f:id:takayuuuuu:20230710083356j:image30分程下りてきた場所からは尾瀬沼が見えて来ました。
f:id:takayuuuuu:20230710083352j:imageこちらのルートは割と急斜面でゴリゴリ下りていく感じでした。尾瀬沼が見えて来ているのにまだかな、まだかな、マナカナR30)と作業的に下りて行きます。すると、

9:38 いきなり景色が開けました。
f:id:takayuuuuu:20230710083510j:imageうわーめちゃくちゃ天気ええやんけー。これは今までの疲れが吹き飛びます。なんて言ったら良いでしょう。尾瀬、最高だぜ。青い空に白い雲、そして湿原の緑、100点満点です。f:id:takayuuuuu:20230710083513j:image
ここは沼尻平という場所で尾瀬沼が目の前に広がります。燧ヶ岳を登山中は結局下りで2名にすれ違っただけでしたが、ここまで下りて来るとハイキングをしている人を見かけるようになりました。沼尻平では学校の行事で来ていた小学生がはしゃいでいました。ベンチがあるので少し休みます。

休憩を取った後はハイキングタイムの開始です。尾瀬沼に沿って南側を半周して尾瀬沼ビジターセンターへ向かいます。山を下りて来てからは、ずっと木道歩きになりますが、一部湿ったところがあって、再び滑って転びそうになり恐怖を感じました。

10:37 尾瀬沼の反対側まで来ました。尾瀬沼山荘を過ぎた場所から燧ケ岳方面に顔を向けると、
f:id:takayuuuuu:20230710083346j:imageちょっと、待ってくださいよ〜。雲ひとつないじゃないですか。わたしが山頂にいた時は雲しか見えなかったじゃないですか。また来たら、頂上からの景色見せてやってもいいぜ、と言わんばかりの仁王立ち状態。今、山頂にいる人はすっごい良い景色を見れているのでしょうね。まあ、天気が最高なのでこの湿原を歩いているだけでも十分気持ちが良いですけどね。

ビジターセンター付近の長蔵小屋に着いたので、さーて、飲み物でも買って休憩を取ろうと自動販売機を除くと「高ッ」。
f:id:takayuuuuu:20230710083549j:imageまあ、山の中だから仕方がないですね。きっとここまで100キロくらいあるような常識を超えた重量を担いでこられた歩荷の方が運んで来てくれたのでしょう。ありがたいことです。しかし、この自動販売機は千円札が使えず小銭がなかった僕には結局購入することが出来ませんでした。その後は、ビジターセンター内を見学しました。尾瀬の美しい写真や動植物の説明がいろいろとありました。さすが尾瀬だけあって有名人が来た際のサインもありました。

ビジターセンターの見学を終え、次は大江湿原を通って沼山峠を目指します。f:id:takayuuuuu:20230710083608j:image尾瀬にはオコジョがいるそうです。
f:id:takayuuuuu:20230710083444j:imageこちらがニッコウキスゲが一面に咲き誇る大江湿原。残念ながらまだニッコウキスゲはほとんど咲いていませんでした。
f:id:takayuuuuu:20230710083428j:imageニッコウキスゲノ大群生はこちらから。

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後でキャンプ場のお母さんから聞きましたが、昔はもっとすごかったそうです。本当に一面カーペット状態だっだそうな。鹿が花を食べてしまって数が減っているそうです。

まあ、でも咲いていなくてもきれいだし気持ちが良いですよ。
f:id:takayuuuuu:20230710083349j:image大江湿原から沼山峠にかけては小学生や中学生にたくさんすれ違いました。沼山峠までバスで来てそこからこちらへ歩いて来ているようですね。ビジターセンター付近の小屋に泊まるのかな。沼山峠への登りは、既に8時間行動している疲れた体にはキツく感じました。

11:51 沼山峠を超えた先にある休憩所にて生コーラで乾杯。   
f:id:takayuuuuu:20230710083552j:image学生たちを運んでいたバスが複数止まっていました。そして、みんな登り始める前のお昼休憩をとっていました。楽しそうでいいな。学生たちに紛れて僕もコーラと行動食で補給します。

小休憩を取った後は学生たちとは別れ、再びひとり山の中へ消えて行きます。ここから先は、沼田街道という山道を通って七入へ向かいます。

こちらは途中にあった抱返ノ滝。どういう意味なんでしょうかね。f:id:takayuuuuu:20230710083507j:imageもう後はキャンプ場まで戻る作業となります。足の疲労もあって早く終わってくれ、まだか、の連続です。f:id:takayuuuuu:20230710083431j:image13:30 七入まで戻って来ました。御池との分岐がある場所ですね。ここまで来ればもう少しでゴールが見えてきます。

七入から少しキャンプ場よりのところにある尾瀬国立公園モニュメント。正面遠くに見えるのが燧ヶ岳です。
f:id:takayuuuuu:20230710083414j:image14:00 よっしゃー、キャンプ場に到着。ただいまー。
f:id:takayuuuuu:20230710083418j:image戻って来た後は受付の小屋にいたキャンプ場のお母さんに、やっぱり今日燧ヶ岳へ行ったことや山頂以外は天気が良く最高だったと喋り散らかします。しっかし、疲れた。30kmも歩いちまったぜ。 明日会津駒ヶ岳登るけど大丈夫かな。その後は温泉を入りに昨日も行った燧の湯へ徒歩で向かいます。往復5km追加です。しかし、温泉に入らないという選択はありません。

温泉から戻った後は夕食を摂って明日のルートをざっと確認します。明日もこのキャンプ場を起点にぐるっと戻って来るとなると20kmオーバーか。昨日に引き続き今日もまた19時には寝るのでありました。

日本百名山 28/100

 

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